<かぐや15>が新しい情報になり、より月の表面が詳細になりました

2015年4月

この月球儀は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「かぐや」のレーザー高度計と地形カメラのデータをもとに作られました。実際の月面は灰色ですが、この月球儀は地球から見た月の色に近い黄色の色相としました。また明暗は標高に対応し、標高の高い地域は明るく、低い地域は暗くしています。およその標高は裏面にあるスケールバーから読み取ることできます。

表側と裏側

月は地球にいつも同じ面を向けています。この月球儀では「月面中心」と書かれている地点が地球から見る月の正面にあたります。地球から見える表側と見ることのできない裏側の境界は、太線で示してあります。

月の地形

月には大小さまざまな円形の凹地があり、クレーターと呼ばれています。クレーターの大部分は、隕石が高速で衝突してできた地形です。直径300km以上のクレーターは盆地(ベイスン)と呼ばれます。クレーターや盆地には科学者の名前がつけられています。  盆地(ベイスン)内部を溶岩によって埋められた平原が海です。海は玄武岩という黒っぽい溶岩でできているために暗くみえます。この月球儀では、岩石自体の明暗とは関係なく、標高によって明暗をつけているため、海は実際に目で見た時よりも明るく表現されています。  海をとりまく、かつての盆地の縁はアルプス山脈、アペニン山脈のように山脈と呼ばれています。

高地と低地

この月球儀で裏の赤道付近が白っぽいのは標高が高いためで、月の最高地点(10.75km)はコロリョフ盆地の北側にあります。その南の黒っぽい地域は40数億年前の巨大衝突によってできたサウスポール=エイトケン盆地(直径2500km)で、月の最低地点(-9.06km)はこの中のアントニアジクレーター内部にあります。

「かぐや」の成果

「かぐや」は2007年9月14日に打ち上げられ、2009年6月11日に月面に衝突するまで21か月間にわたって月周回軌道から観測を続けました。「かぐや」以前にも、多数の有人・無人の月探査機がありますが、月の表面を100%カバーして観測したのは「かぐや」が初めてです。「かぐや」に搭載された地形カメラは10mの分解能でステレオ視ができる高性能カメラです。

月の縦穴

2009年「かぐや」の地形カメラによってマリウス丘(嵐の大洋中央部)、静かの海、賢者の海(裏側)に深い縦穴が発見されました。この月球儀ではこれらの縦穴も示してあります。縦穴はクレーターよりもずっと深く、地下の溶岩トンネルにつながっている可能性があり、将来の月面基地として有望です。 そのため、2018年頃に国産の小型ロケット「イプシロン」3号機によって探査機をマリウス丘にある縦穴(直径57m、深さ45m)の近くに着陸させる計画が進められています。さらに2020年頃には大型ロケット「HIIAによって静かの海にある縦穴(直径100m、深さ107m)の近くに探査機を着陸させ、観測機器を縦穴の底に送り込み、月の地下世界を探る研究も進められています。今後の進展が楽しみです。

3,240円(税込)

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