「地図の学際」に弊社が紹介されました

地図の学際 2008年7月12日付

日本の地図史に残した 米国極東陸軍地図局(AMS)の足跡
AMSの立体地図と出会った

 埼玉県草加市にある(株)渡辺教具製作所という地球儀の製作会社がある。東海大学との連携による人工衛星データに基づく精度の高い地球儀製作など、この分野では実力のある地球儀メーカーだ。昭和12年の創業から4代目の経営者の渡辺美和子さんからこの会社の3階に「地球&宇宙のミニ博物館」があるとうかがい、東京カートグラフィックの猪原社長と連れ立って見学に出かけた。  展示室には300年前のオランダで作られたファルク地球儀、天球儀のレプリカ、創業者渡辺雲晴さんが50年以上前に作った地球儀からミニプラネタリウム、天体模型から岩石標本まで、狭い部屋にぎっしりと地球、宇宙に関する資料が展示されている。  驚いたのは渡辺さんが倉庫から取り出した「立体地図」だった。まぎれもないAMS製作の地図だ。創業者の雲晴さんは東京・築地で創業、本願寺やGHQ(連合軍最高司令部)と関係を持ちながら地球儀製作業の道を拓いた人だが、その過程でAMSが製作した立体日本地図を入手、保管してきたという。展示室の保管箱には、関東、東北など日本各地の立体地図が70cm×40cmほどの大きさに分割され大切に収蔵されていた。保存状態は比較的良好であった。奥日光の山々、中禅寺湖などの高さが3倍の倍率で表現されていることが指先で確認できた。半世紀を経た凸凹から、戦後の日本の地図調製の変遷が伝わってくるかのようだった。  渡辺さんは北区飛鳥山博物館にも同様のAMS時代の立体地図が収蔵されていると教えてくれた。