弊社倉庫より「朝鮮戦争時の立体日本地図」が発見されました

東京新聞掲載 2003年2月17日付

朝鮮戦争時の立体日本地図発見-米軍作製-35枚、戦略構想に利用か

 朝鮮戦争(1950〜53年)中に米軍が作製した立体式の日本地図35枚が、埼玉県草加市の地球儀製作会社の倉庫で見つかった。地図は米国陸軍測量部作成のプラスチック製。専門家は「米軍は占領地を中心に地図を作っていたが、平面図が主流だった。立体式の地図が残っているとは興味深い」と関心を寄せている。  地図が見つかったのは草加市松江の「渡辺教具製作所」。渡辺美和子社長が昨夏、社屋3階を掃除していたところ、段ボール2箱に入った立体式地図を見つけた。  地図は南関東や東海地方、金沢市周辺など北海道から島根県までの主要都市を中心に25万分の1の縮尺で作られ、地名は日本語と英語を表記、隆起した山間部には等高線が描かれている。製作年は51年と55年と記されている。  軍事評論家の熊谷直さんは「朝鮮戦争の際、日本防衛と朝鮮半島戦略を練るために製作されたのではないか」と推測。西日本や九州の地図は残っておらず「朝鮮半島に近いため、米軍が実際の作戦に使った可能性もある」と指摘する。  熊谷氏によると、連合国軍総司令部(GHQ)は48年、日本全土の航空写真を撮影し、地図製作を開始した。旧日本軍製の地図と照合しながら52年に完成させたという。しかし、これまでに残存しているのは平面図ばかりという。  地図を見つけた渡辺さんは「創業者の義父が手に入れたのだろう。地球儀作りの参考にしたのかもしれない。平和資料として公開も検討したい」と話している。