ファルク地球儀・天球儀販売によせて

渡辺 美和子 2000年8月

300年前の地球儀製作者ファルクは高度な技法を身につけた版画家でもあった

 先日、上野の国立西洋美術館で開催されている「レンブラント、フェルメールとその時代」展(2000年7/4〜9/24)を見に行ってきました。日蘭交流400年という年を記念して、アムステルダム国立美術館所蔵17世紀オランダ美術品の展覧会です。  フェルメールの絵が見たくて行ったのですが、「恋文」だけ。レンブラントの絵は沢山あって見ごたえがありました。  その中に出展番号79と80。メゾチントによる銅版画「眠る女中」と「蚤をさがす女」に出会ってびっくりしました。画家はヘラルト・ファルク。1651/52〜1726アムステルダムとなっています。地球儀製作者のファルク(父)と生没年、出生地、亡くなった地名、姓名が全く一緒です。でも解説には一切地球儀製作者であることは記されていません。またオランダの出版社がだしているクロフト著の古地球儀の本にはファルクが版画家であったことが記されていません。それでオランダ大使館文化部に確かめましたところ、「地図、地球儀は当時としては最先端の技術を使っていたのだから、版画家としてすぐれていた人物とは九分九厘同一人物でしょう」とのことでした。  だからファルク地球儀・天球儀は美しい。

画家フェルメールとの出会い

 学生時代、学芸員(キューレーター)の資格を取るための勉強もしていました。「教会で美術史を英語で教えてくれるところがあるわよ」という友人の情報で、週一回行き始めました。先生はノーマ・ヤング(Norma・Young)というアメリカ人の美術評論家。スライドを使って美術史を丁寧に教えていただきました。その中でフェルメールの絵は心を打ちました。それからフェルメールの絵が見られるチャンスはのがさないように美術館に行きました。本物はあたたかい。今年大阪でのフェルメールの絵5点を見逃してしまったのは不覚でした。  ところでノーマ・ヤングのだんなさまは月に行ったことのあるヤング宇宙飛行士のお兄さんでした。当時はお茶会にお招きしたり、ミセスヤングとは美術展にご一緒したりしました。もうとっくにアメリカに帰ってらっしゃると思いますけど、ミセスヤングにもう一度お会いしたいです。  フェルメールには後年わかったことですが、「天文学者」と「地理学者」という作品があります。ファルク地球儀・天球儀が世にでる約50年前のオランダ人ホンディウス作の地球儀・天球儀が描かれています。